- 健康で長生きは長息をする
最近相談をしていて気になることがあります。病をかかえて自律神経を安定させることは難しいことですが、相談者の多くの人が「呼吸」が浅いように思います。呼吸数は多いのですが、肺の入り口で循環させて、肺の奥まで酸素がいきわたらないようです。これでは、肉体も精神も安定しません。まずは「意識して吐く」訓練をしてください。医食同源の真弓先生によると、一分当たり18回以下に呼吸をとどめることがよいと述べられています。呼吸数を18回にすると体温は18の2倍の36度、その36度の2倍にした72というのは、脈拍数、さらにその2倍144は、最高血圧の標準値になるそうです。そして最高血圧を144以下に抑えたいなら呼吸数も18回以内に抑えなければならないと述べられております。意識して呼吸数をコントロールすることが、健康しいては長生きの秘訣かもしれませんね。まずは、呼吸法を健康になるための基本にしてはどうでしょうか。大いなる働きの中にこんなにまで小さな私が今も生かされているとしみじみに思うこの頃です。
- 「より高い出会いを求めて…」漢方は哲学である。
この世に生まれて、人は生きていかなければならないという苦しみを背負っているようです。いわば、人間として生きてきたというだけで一重苦の病める者です。病人はこの一重苦の上に病むという悩みを持っており、まさしく二重苦であり、二重苦の病める者であることを知ったとき、さらに年老いることが三重苦であることを知ったとき、この人たちのために三倍の重みをもったお話ができるのか、今一度自分の「姿勢」「かまえ」「お顔」「話し言葉」を反省し、希望の光を差し上げられるように、漢方という枠を超えてより高い出会いを求めて日々精進してまいります。
- 何事も「 馬尾蚊足」のように… 」
- 厳しい寒さの中にも春の兆しを少しずつ感じるようになりました。冬というものを味わい尽くしてこそ、春の良さを一層感じるとは道元さんのお言葉にもあるようですが、そのような気持ちになれてはじめて生きている実感を味わえるのかと思いますが、いかがでしょうか。お香に「馬尾蚊足」という言葉があります。貴重な香木を大切に少しずつ使用するという戒めの言葉だということらしいです。漢方薬も貴重な生薬です。特に動物生薬には限りがあります。貴重な生薬を「馬尾蚊足」の言葉のように大切に使用しなければならないと思います。ちなみに当店では、お香(香木)薬玉(くすだま)は、漢方薬に準じて大切なものとして扱っております。来てよかったという言葉をいただきたく、毎日が精進、精進です。
- 「 重畳(喜ばしいこと) 」
新年あけましておめでとうございます。関東平野は元旦から穏やかな暖かい日が続いているそうですが、秋田・宮城県境にある秋ノ宮温泉郷では暖冬とはいえ、毎日雪が降り、山に積もる変化にとんだ雪景色を楽しんでおります。静寂の中にも風の音とともに雪が舞い、幾重にも重なりあいこの上もなく心地良い音楽を聴いているようです。重畳(ちょうじょう)の世界いるようです。また、多くの生きるものの(叫び)も同時に聴こえてきます。世界のどこかで、日本のどこかで、そして人間の心の中のSOSを聞き逃さないように漢方相談を通して最善を尽くしてまいります。
- 「無事というお守り」
多くの相談を受け、今年もあと1ヶ月余りで終わりを告げようとしております。一人一人を思い返し健康に無事に過ごしておられるか思い返す日々であります。退院後、無事に過ごしていらっしゃるだろうか、また、リウマチの方は痛みが出ていないだろうか、てんかんのお嬢ちゃんはどうしているだろうかと心配はつきそうもありません。私も今年一年を無事に過ごせたことに感謝し、当店で相談を受けた方々一人一人に思いをいたし「無事というお守り」を受け取ってくださることを願って、そして来年も無事に、またお会いすることを楽しみに、残り1ヶ月頑張って行きたいと思います。
- 「南方録より」
- 利休曰く、「茶道とは湯を沸かし、茶をたて、飲むばかりなり」と南方録に記されておりますが、至極当たり前のことのように思われますが、私にはとても重要なことがかくされているように思います。主人は茶を受ける側の人の個性・性格・趣味・嗜好、その時の状況をかみして最善のお茶を差し上げるべきであるとおっしゃっているように思います。これはまさしく漢方の考えでもあり、個性の尊重ということを忘れてはならないということを噛みしめて、日々精進したいと思います。秋も深まり、朝・晩の気温差が大きくなってきました。体調不良の方も多く見うけられます。風邪もひきやすく、秋風は長引きますので、御注意してください。
- 「われ未だ木鶏たりえず」
- 大横綱の双葉山が「われ未だ木鶏たりえず」と言われたことを思い出しました。第一に「競わず」むやみに余計な競争心を起こしてはならない事、第二に「てらわず」自分を自分以上にみせてはならない事、第三に「瞳を動かさず」回りばかりを気にしてキョロキョロ見回さない事、第四に「静かなる事木鶏の如し」木彫りの鶏の様に静かに自己をみつめる事と双葉山の謙虚なお言葉にはこのような深い哲学があるのかといつも考えさせられます。双葉山にももちろん木鶏にもなれそうもありませんが、どうか「心の病」で苦しんでいる40代、50代の方が救われますように願って書きました。
- 「合わせることが特効薬」
この仕事について、絶対的なものはないように思います。ましてや特効薬という絶対的なものもないように思います。専門家は絶対を目指して研究を重ねています。この絶対に効かせる自信を会得するために、この世にたった一人しかいないあなたという人間の体質に全てを合わせるために全知全能をかけること、これが絶対ということですし、その技こそが専門家であります。あなたに合わせた薬が「よく効き合っているとき」それが特効薬だと思います。さあ、今月もあなたにお会いできることを願って…頑張ります。
- 「老いても自立こそ人生」
- 聴いていて気持ちの良い言葉と同様、見ていて良い顔だなという人に出会うことがあります。つい最近2年ぶりにお会いしたKさんは、80歳にして現役の営業マンです。いつもニコニコして、たいへん謙虚な方です。仕事一筋にやってこられ、多くの苦労を乗り越えて来て、何ともいえない良いお顔をされています。おそらく仕事がすべての生きがいにつながり、健康で若々しく、誰もがKさんのようでありたいと願うでしょう。そして大事なことは「人間誰しも頼れるものは、自分の二本の足以外はないものだと教えてくれるKさんです。」
- 我(われ)以外(いがい)皆(みな)我(わ)が師(し)
- うつ傾向の若い男女の方の相談が増えているようです。一人で行う仕事量が多く、休日を返上してまでも頑張っておられる方が多く見られます。企業側の生産性の問題もあるでしょうが、もう少しゆとりがあってもよいのではないでしょうか。また、30代は、全身全霊で社会に立ち向かう時期です。おそらくほめられることはなく、悩みの時代でもあります。悩みの中にいるときには見えませんが、はたから見ていると、立派な人間がつくられる時なのです。どうか学ぶ姿勢を忘れず、「我以外皆我が師(先生)」という思いで、乗り越えてください。立派な人間になるための登竜門のようでもあります。できたらもっとな悩みぬき苦労してくださいと申しておきます。