お話をお聞かせください。相談余話

相談余話

修行も愛語から

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
年末年始を「無事」に何事もなく、穏やかに過ごされたかと思います。
私事で申し訳ございませんが、年末年始を青森八甲田山の麓を流れる青荷川源流域にある、ランプの宿「青荷温泉」で過ごしております。ここにあるのは全てが雪であり、部屋には小さなストーブとランプの灯りだけです。一冊の本「遺言」養老孟司著を携えて来ましたが、雪に閉ざされ、ランプの灯りだけでは暗くて読めそうもなく、湯につかり、雪景色を眺め、田舎料理をいただき、ただ後は眠るばかりです。年末寒波の影響で、吹雪の中を12時間かけてたどり着きました。本当によく来たものです。感謝、感謝です。多くの方の協力がなければ来ることが出来なかったと思います。東京での生活は人に頼って当たり前。それが見えずに不平不満のストレスで疲れていたのでしょう。この厳しい環境の中に身を置くと、やはり頼るは、この身「二本の足」で最後まで頑張ること。どうしても頼らざるおえない時がきた時は、人は心から「お願いします」そして「ありがとうございます」という本当の修行があるように思います。当たり前のようですが、不平不満のない自立した精神があれば「お願いします」「ありがとうございました」と言う言葉は人生何も出来なくなっても出来る最高の修行のように思います。もう一度今年は原点に返って心から「お願いします」感謝の言葉として「ありがとうございます」という言葉を自立した精神を忘れずに修行の言葉としていければと思います。優しくランプが灯っています。本当の豊かさを味わって帰りたいと思います。養老先生すみませんでした。帰ってからゆっくりと読みたいと思います。また、こんな話ばかりになると思いますが、一年間、お付き合いお願いします。

青荷温泉 ランプの宿より 店主

自然の声こそ先生

11下旬の休みを利用して、群馬県の六合(くに)の里温泉郷の最奥にある尻焼温泉に行ってきました。川をせき止めて設けられた大きな露天風呂に入るのが目的です。今晩の宿は星ヶ丘山荘にお世話になることになりました。宿から歩いて2~3分のところには裸電球に照らされた大きな池のような露天風呂が夕闇の中にありました。橋から下った先に小さな湯小屋があり、そこで着替えが出来るようです。雨がなくまたお天気が続いたので川底から噴き出す温泉も適温になっていました。音なき音の中にも自然の喜びが聞こえるようです。空を見上げれば満天の星が迎えてくれました。今を楽しめと私一人のために自然が用意してくれた最高のステージです。感謝、感謝です。 自然は喜びも与え、悲しみも与えます。我々がいかに自然と一体となり謙虚に生きるか問われているようでもあります。あらゆるSOSを見逃さないように謙虚に自然の声を聞くことがこれから重要だと思います。人間も自然の一部であるように身体のSOSを見逃さないようにこれからも精進したいと思います。星ヶ丘山荘の女将さん、それからスタッフの方々にお世話になりました。鶴太郎さんにはお会いできませんでしたが、いつかお会いしたいものです。本当にいい宿でした。本年もお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

店主

今日も吉日

今年を振り返る季節になったようです。余命を宣告され少しでも生活の質(QOL)向上を願って当店に見えたU子さんも今では「今月も元気でしたよ。感謝、感謝の赤飯なのでお裾分けです。」と言って風呂敷に包んで毎月持ってきてくださいます。こちらが感謝、感謝です。U子さんと出会って「健康とは」いったい何なのかもう一度考えるようになりました。「健」は体の身体の有り様で、「康」は心の有り様ですが、どうも「健」と「康」は同じ大きさではなくU子さんのように「康」によって「健」を支えている。それも心の有り様の上に身体を優しく乗せて「健康」という状態を保っているからこそ、毎日充実した日を過ごしているのではないでしょうか。「康」によって「健」は支えられ、心の有り様によって本当の幸せがあるのかもしれません。U子さんもまた私の人生の師匠のようです。まだまだ、よろしくお願いします。

店主

薬は信じて服用するもの

9月の休みを利用して、秘湯中の秘湯である岩地にある小さな漁村の民宿青風園さんにお世話になりました。高台にあるお風呂からの眺めは素晴らしく、青い空に海岸線の美しさ、打ち寄せる波の音そしてさわやかな風の声です。自ら洞にこもり修行する修行僧が見た光景が空と海であったように「空海」という人の名がわかるような気がしました。「空海さん」がもたらした一つに薬があります。その薬の服用についても仏教の教えと同じように「信じること」が大事なことだとおっしゃっています。「空海さん」のような修行を極めた人格者にはとうていなれそうもないですが、その姿勢は忘れず、明日も精進、修行に励みたいと思います。目的の一つである伊豆下田の郊外にある仏教美術館は清掃日にあたり休館しておりましたが、青風園の女将さん、息子さんにお会いできたことが大変幸せでありました。ありがとうございました。

店主

病を経て適職へ

8月も中旬を過ぎた頃、いつもは妹さんと一緒に見えるCさんが、一人で訪ねてきました。精神的な病で、5年ほど前から妹さん宅にお世話になっているCさんです。初めて相談に見えたときのCさんは、「こんな身体になって、妹に迷惑をかけているので早く死ぬのが一番よいのです。」とおっしゃっていました。出る言葉はいつも同じです。お医者さんもずいぶん困っていたようです。Cさんに「Cさんの身体は生きるため一生懸命に働いていますよ。Cさんの頭だけが死にたい、死にたいと言っているだけでそれは身体に対して失礼な話ですね。もう一度冷静な頭になって、考え直してください。一日一日が日にち薬と思って漢方を服用してください。」とお話ししました。そして最近は、「死ぬのはやはり怖いですよ。考えれば考えるほど怖いですよ。」とおっしゃっています。「だったら一生懸命生きることの方が気が楽ですよ。死ぬことを忘れて一生懸命生きる方がきっといいと思いますよ。」と話しました。今回のCさんの相談はずいぶんよくなってきたのでもう一度何か人の役に立つ仕事について、少しでも妹さんの負担を減らして、出来れば妹の家を出て生活したいと話していました。5年もの間、死を見つめて来られて病を克服されたのですから、いよいよ人助けをする番ですね。今から宗教家は無理としても、お寺さんの聖(ひじり)さんでも、墓守人でも死と向き合わざるを得ない人達に希望を与える仕事に就けばおそらく皆さんはCさんに出会って本当に救われると思います。私が言うのもおかしいですが、Cさんの顔を見ているだけで私が救われるようです。ありがとうございました。

店主

住まいは人なり

奥会津の玉梨温泉で出会った一人の老人宅にお伺いすることが出来ました。そこは、南会津町前沢にある前沢集落です。徳造さん宅も伝統的な茅葺のりっぱな曲家です。中門作りで母屋と馬屋が一体となっていました。入口を入ると土間があり、徳造さんと奥様がいろりの前で出迎えてくださいました。徳造さんは六人兄弟の長男として家を守るためにこの地に残って、東京へ出た兄弟達に援助をしてきたそうです。先祖代々からの物はこの家しか残らなかったそうです。兄弟姉妹も今は東京で立派にやっているそうで、温泉巡りをしている今が一番幸せと言っていました。いろりのある後ろに大黒柱が黒く光っています。「立派な大黒柱は徳を積んだ徳造さんにぴったりですね。住まいは人なりと申しますが、この曲家は徳造さんと奥様にしか合いません。」本当に素晴らしい住まいを拝見させていただいてありがとうございました。

店主

生老病死

朝早く一本の電話がかかってきました。Aさんからの電話でした。「あんた、やっぽり肺に腫瘍があって、どうも悪性らしいよ。進行の早いガンだって。この年まで生きて来て、悔いはないけどできたらオリンピックまでは生きたいね。」とおっしゃっておりました。いつもと違う咳が続き、悪化傾向にあったので受診を勧めたのがこの結果でした。会社を経営されているときは従業員のみなさんの食事を作り、会社を娘さん夫婦に譲ってからは、会長婦人として若夫婦とお孫さんの食事作りをしながら、カラオケ、輪投げ、旅行と精一杯人生を楽しんでいたようです。そして、「もう治療はしないことにしたよ。私が決めたことだから。でもね、あんたの漢方はもう少し続けることにするよ。出来たらオリンピックまでは続けるよ。なんか見繕っておいてよ。カラオケの帰りに寄るよ。」とおっしゃっていました。Aさんに私が励まされているようです。生きて、老いて、病気を患い死んでいく運命にある。人間が生きてきた証を少しでも理解し、寄り添い、安心感を与えられれば、ということをAさんによって教えられているようです。Aさんもやはり私の先生です。オリンピックと言わず、次のオリンピックまで寄り添いたいものです。Aさんに感謝、感謝です。

店主

藁屋に名馬をつなぐ

五月に入り春休みをいただき、秘湯を求めて今回は福島県の高湯温泉に行ってきました。お天気にも恵まれ、車の渋滞もなく、磐梯吾妻スカイライン沿いにある湯治場的雰囲気の残った吾妻屋さんにお世話になりました。昔ながらの古びた湯治宿のようです。豊かな自然に囲まれた山の湯につかり、人の優しさに触れたいい旅になりました。女将さん始め、従業員の方々のお客を思いやる姿勢には頭が下がる思いです。ある従業員の方が「私たちのまかない料理は女将さんが作ってくださるんですよ。」とおっしゃっていました。まさにこんな言葉が思い起こされました。「藁屋に名馬をつなぐ」。震災を乗り越え140年も守り続けてきた宿にこの女将です。個人個人の個性を大事にして寄り添いいたわり思いやる心。なんとも旅の出会いで学ぶことができた幸せいっぱいの旅でした。心の中で「感謝、感謝です。」また来たいものです。

店主

いつも良寛さん

ゴールデンウィークを前にして今年は寒暖差の激しい春を迎えております。
相談に見えるお客様や相談電話もこの時期にしては多いようです。
いつも申しておりますが、身体の弱い方、ご高齢の方にとっては「弱い」「高齢」というだけで、何らかの不調という病を抱えております。そこに気候変動の激しさが追い打ちをかけるようです。ストレスや寝不足により慢性的な疾患を抱えているお客様にとってはたいへんつらい時期のようです。「弱い」「高齢」という不調を病とするならば気候変動の寒暖差もいろいろな形で不調をもたらす病です。二重の病に苦しんでいるのが、「身体の弱い人」「ご高齢の方」ではないでしょうか。
「君看ずや双眼の色 語らざれば憂いなき似たり」
何も言わなくていいですよ。多くの苦労を素直に受け止め乗り越えてこられたお顔です。お顔を拝見するだけで十分です。ありがとうございました。

店主

専門家はすべてをあわせる

3月もお彼岸を過ぎると暖かさとともに春を感じる季節を迎えます。桜も今年は早いようです。待ち遠しいですね。当店では16年前に購入した車の買い換えをするときがきたようです。15万キロ以上乗り愛着のある車でしたが高齢者のお客様が多くなり、山間部の配達も増えていることもあり買い換えを決断しました。どのメーカーを選んでもある程度のオプションの装備により車とはなんと高額かとびっくりするばかりです。そんなときあるメーカーのHさんがお店に見えパンフレットを届けてくださいました。いつもはこちらからの車選びによる見積もりでしたが、Hさんからのおすすめの車のようです。「山間部によく行く」「高齢者を乗せる」「運転者の年齢」等「経済性」「セーフティ装備の充実」をおっしゃっていただき、「この車が一番社長の望んでいる車のように思います。」と言われました。まさに私がお店で漢方薬を選定することと同じように私の性格、趣味、嗜好など全てを含めて選んでくださいました。どの世界にも「あなたに合った薬を車」を提示できる専門家がいるようです。何も言わずそれでお願いしますと申しました。Hさんも自信に満ちた顔でうなずいていました。薬でいえばあなたに合わせた薬がよく効くことで特効薬になります。おすすめの車はこれから私にとって一番の愛車になることでしょう。Hさんに出会えたことそして私に一番よい車を選んでいただいたことに感謝するばかりです。ありがとうございました。

店主

正師を得らざれば学ばざるにしかず

立春が過ぎても厳しい寒さが続いております。春の気配を感じることはできませんが、北鎌倉の松岡山東慶寺へ行ってきます。師の眠る墓苑に手を合わせ、1年を祈願します。そこには多くを学んだ先生方も眠っております。なんとも幸せな時を過ごすことのできる場所です。花の寺でもあり、福寿草、それに行く頃には紅梅、白梅も見頃になるでしょう。いつ行っても季節の花で彩られています。禅「ZEN」として世界に広めた鈴木大拙も眠っております。それぞれのお墓の前で禅問答ではないですが、「今、ここを読んでおりますが、本当の意味は何ですか?」と話しかけております。「ああ、そこには深い意味は無いが先に進みなさい。」または「そこはもう少し考えてください。」と言われているようです。本当にありがたいことです。1日が墓苑巡りで終わってしまいます。墓苑を出る頃には体が冷え切っておりますので、よく先生と立ち寄った鉢の木で「精進料理」をいただくのも楽しみの一つです。ここの梅も素敵です。1年で最も充実した日になります。先生と語り合った日々それに多くを学んだ先生方にまた教えを乞うのはなんとも幸せです。姿形はなけれども私の心の中ではみなさんはお元気なようです。どうぞ、また墓苑でお会いできることを楽しみにしております。まだまだ学ぶことはたくさんありますので、よろしくお願いいたします。恋人に会いに行くような気持ちで楽しみにしております。早くお会いしたいものです。 二月吉日

店主

本質を見極める

1月下旬雪の残る厳しい寒さの中、Kさんは元気に来店してくださいました。すでに70歳は超えておりますが、今ではとても若々しく、健康そのものです。以前相談を受けたご質問は、「いろいろお化粧を買い求め、試してみたが最近は本来の肌色との違いが目立ち老けて見えるようになり、どこか体の中に問題があるのかもしれない。」ということでした。60歳を超える頃から体内の老化が顔に表れるようになります。まさしく顔は内臓の働きを表す「鏡」です。体内環境をよくする漢方療法と「和顔愛語」それに「「化粧断食」をお願いしました。気・血・水の巡りもよくなり、顔の皮膚も健康を取り戻し、いつも笑顔に美しい言葉を続けていくことで、今ではとても健康的な肌色で誰よりも健康美人です。ほぼ10年を過ぎますが、今も家では「化粧断食」をしているそうです。外出の時だけ「少しの口紅」と「和顔愛語」で十分だそうです。年齢を感じさせないKさんは病気をよせつけない生き方を見つけたようです。こちらが感謝・感謝です。それでは今晩は、NHK-Eテレ放送のやまと尼寺の3人を楽しく見たいものです。

店主

大身は大身に非ず

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年も元旦は東北の秘湯で迎えました。乳頭温泉郷の奥にある蟹場温泉です。吹雪舞う雪の回廊を登り、バスの終点にその宿はありました。湯治宿の面影を今に残し、雪に埋もれながらひっそりと息づいているようです。一年間を振り返り、自分と向き合う場所としては、申し分のない場所のようです。大雪でも露天風呂への道は確保されており、早速長靴をお借りして、出かけてみました。雪に埋もれたブナやタケカンバの森の中に湯けむりをあげている露天風呂唐子の湯がありました。雪がふぶき湯けむりを巻き込んで、竜が天に昇るようです。自然が出迎えてくれたようです。極楽、極楽です。ただ、湯につかり、眠り、そして深山の山懐に抱かれて、しんしんと降る雪景色に一冊の本でもあれば十分ですね。「心に能所の限量無き、是を大身と名づく」という言葉が思い浮かばれました。仕事がら救っていく自分と救われる相手という立場があるように、漢方相談という壁を作ってしまう。一人の人間として融通無碍に交わることができれば、どんな関わりにもそこに壁を作るのは自分であり、その壁を作らず受け入れることができればもっと多くの人が救われるように思います。漢方相談の壁を無くし、人間としての交わりができるようにしていくことでさらに多くの方を救えるのではないでしょうか。「大身は大身に非ず、是を大身と名づく」これを今年のテーマとしたいと思います。大自然の雄大さに触れて感謝、感謝です。さあ今年も始まります。やはり唐子の湯は最高ですね。

店主

無事

寒い冬を迎え、今年も終わりが近づく中、忘れることのできない本があります。髙田郁著「出世花」と「蓮華の契り」です。どのような境遇でも自分の一生をかけられる仕事に誇りを持ってやり遂げていく。そこに人間としての素晴らしさがあるようです。「出世花」の「正縁さんと正念さん」や「蓮の愛」に見られる「貞心尼さんと良寛さん」のように師と弟子としてともに温かく見守る情愛がなんともいえません。そういう環境があれば、人間は必ず独り立ちしていくのではないでしょうか。一人の立派な人間が作られると思います。病を抱えている方にどれほど寄り添え、手を差し伸べられたか反省するばかりですが、今年の締め括りとして、「無事」という言葉を皆様に受け取ってもらえれば何よりです。「無事」新年を迎えることをお祈りしております。一年間ありがとうございました。

店主

今日も修行です。

秋の深まりとともに、教えを受けた先生が偲ばれます。「自分を知るとは、生かされているばかりの自分を知れということで、誰がどれだけ自分を生かしてくれる力を与えてくださっているかを知ることだそうです。」そしてその量が多ければ多いほど、自分が深まっていること、つまりどれだけ進歩したかの目安になるとおっしゃっていました。それがまた、終生の修行とも言っております。『健』は丈夫な身体のために、『康』は穏やかな心を保つために、どれだけそれらに心砕いて努めたかによって、人間として成長するのではないでしょうか。それは「何もできない自分を生かすために、全ての働きが自分を支えてくださる。」と言うことでもあります。修行に終わりはないと思います。今年も残り少なくなってきましたが、多くの方に支えられながら、今日も修行に励みたいと思います。

希望と安心

お彼岸も過ぎる頃になると、夏の残暑からも解放され、過ごしやすくなってきました。昨日実家からの帰り道でしょうか、Cさんが店前を自転車で元気に会釈をしながら通り過ぎていきました。うれしそうなお顔に安心しました。もう20年のおつきあいになるでしょうか。そのCさんは甲状腺機能に異常があって、若いときからお薬を服用しております。お薬の服用で一応、検査結果は安定しており、経過観察になっていたようです。当店に見えたときの訴えは、「汗や動悸が気になる」「疲れやすい」などでした。甲状腺の機能状態は問題がなくても不快な症状は続いていたのです。生活の質(QOL)を少しでもあげて、快適な生活を求めて来店されました。甲状腺ホルモンが多い場合もあれば、少ない場合も不快な症状として「寒がり」「無気力」「むくみ」など自覚症状として表れます。Cさんは、漢方薬と免疫機能調整作用のある物質も一緒に服用しているため、自覚症状もなくたいへん元気なようです。自己抗体を抑制することは、抗リン脂質抗体症候群(不育症の原因の一つ)にもたいへん喜ばれております。昨日より今日、そして明日へと「希望のある」「安心できる」日が来ることを目標に精進、精進です。

規則を超えたところにある本当の規則

8月15日から4日間夏休みをいただき、米沢八湯の一つである大平温泉・滝見屋さんへ行ってきました。吾妻山嶺の市道の山林を車で登りきり、頂上に車を止め、そこから最上川源流に向かってトレッキングです。このような場所に宿があるのか心配でしたが、ひっそりと山陰に秘境の一軒宿がありました。何よりも宿の方の笑顔に救われました。今まで訪れた宿の中では、やはり秘湯中の秘湯ではないでしょうか。何もない中にあるのは、自然の美しい変化と、豊富な温泉です。地獄にも仏とはこのような場所に来て体験できるのですね。二日間の滞在が夢のようでした。そしてこのような秘湯の宿を守っている女将さんをはじめ、スタッフの方々には感謝、感謝しかないようです。秘湯の宿めぐりで、はじめて秘湯とは何かをつかめたようです。名勝、火焔の滝は望めませんでしたが、おそらく忘れることのできない貴重な体験になったことは間違いないと思います。そして何かとは、「規則を超えたところに本当の規則がある」ということではないでしょうか。ありがとうございました。

沈黙こそ真実の言葉

病と向き合うお客様に季節は関係ないようです。この暑さの中に多くの方が当店に見えてご相談されます。この季節は、電話で今日の状態をお聞きして、「いつもと違う」という方には2、3日様子を見てからご来店してもらうようにしております。くれぐれも無理をせず熱中症には気をつけていただきたいものです。相談に見えて理路整然とお話をされる方もいれば、とつとつと一言一言を選んでお話しされる方、表現の仕方はそれぞれに違います。どの方にも共通する大事なことは、お話を終えた後の沈黙です。言葉にならない「余白」にこそ、その人の真実があるように思います。悩みの深さ、病の深さを感じることができます。相談に見えて言葉は少なくとも十分に伝わるものがあります。心を込めて話した短い言葉にも、相手の心にしっかり届いておりますので安心してください。どうぞ、沈黙もよいものですよ。

青梅の誉れ

梅雨入りを目前にして、鈴木牧之の代表作「北越雪譜」で知られている最後の秘境秋山郷に日本秘湯を守る会の湯宿「川津屋」さんを訪ねました。新潟寄りの郷の入口とはいえ、川津渓谷沿いの秘湯そのままの環境です。ここに来る目的の一つに、我が郷土の誉れ、小説家の吉川英治さんが長滞在していたそうです。そのお話をしていたので、宿の女将さんの計らいで吉川英治さん滞在の部屋を用意してくださいました。また食事の時にはそのとき使用していた机も見せていただきました。そしていつも私が戒めとしている言葉に「我以外皆我師」と書かれた書があることに感動しました。ふるさとに帰ってきたおもてなしといい、この宿の温かさに吉川英治さんも同じ思いだったかもしれません。本当に自然の美しさと情が身にしみる宿でした。

今日も真剣勝負です。

新緑の美しい季節になりました。今日も病という重い荷を背負って当店に来店してくださいます。駅よりまっすぐな一本道ですが、350mあります。その歩みはゆっくりですが、私も店の外に出て、その歩みを見守ります。毎日のことですが、相談のヒントになることがあります。年齢を重ねることも病いと言うことであれば、そこに病名をいただく病いが重なればやりきれないのが本当ではないでしょうか。それでも精一杯の笑顔で来店してくださいます。何も語らなくても、その笑顔がすべてを教えてくれているようです。

「君看ずや双眼の色 語らざれば憂いなきに似たり」 良寛

多くの病いを乗り越えてきた人の顔は、何も語らなくても誰よりもすてきですね。 と言っているようです。お顔には「体の全神経」が表現されているそうです。まだまだ理解し得ないところがあります。宮本武蔵にはなれませんが、千の稽古、万の稽古を重ねる鍛練をしていくしかないと思います。不眠からストレス、そして風邪、風邪は万病の元です。夏の風邪は冬の風邪のように症状がはっきりしませんので注意が必要です。またこの風邪によって熱中症は重症化するものと思います。さらに注意が必要かと思います。さあ~、今日も真剣勝負です。