お話をお聞かせください。相談余話

相談余話

我以外皆我師⑤

北鎌倉、東慶寺の墓苑も今年はすでに秋の草花がいたる所に見られます。川田順(歌人)先生は辻井喬著「虹の岬」でご存知の方もいると思います。西行法師・川田順先生は私の心の師でもあります。見えない「もの」を見るにはとても良い場所です。一人一人のお客様を考える場所でもあります。今月はお母さまと毎月見えるS君について考えたいと思います。9月の下旬にお母さまが一人で見えましたで私の心配が当たったようです。S君は虚弱体質で胃下垂があり、とてもやせた身体です。夏の盛りの時はとても元気で安心しておりましたが、気温の低下とともに夏の疲れが出たのでしょう。お布団に入ったきり、ほとんど食事もせず寝ているとのことです。中学3年生の受験生でもありますので、余計心配されたのだと思います。胃下垂が強く出ますと普段でも食事の吸収が良くない状態がさらに悪化します。それは絶食に近い状態かもしれません。まずは本人が食べたいものをできれば温かいものを「よく噛んで」少しずつお腹に入れてください。お粥はだめです。お粥はお粥のままお腹に入ります。よく噛むことの方が吸収が良いのです。見えない「もの」を見ることです。お布団に入ってよく眠ることは、本人にとって一番の回復方法なのです。きっと元気になって出てきますよ。S君を守るためにご夫婦で「中学3年生にもなって」という言葉は通用しません。すべてはS君の成長に合わせて「ものごと」を考えてあげることが本当の幸せにつながると思います。うちの「あきちゃん」や「稀勢の里」のように長い目で見てやってください。

我以外皆我師④

読書の秋には少し早いかもしれませんが、一冊の本を紹介したいと思います。「蓮の愛」良寛と貞心尼―著者は市川信夫さんです。良寛さんの人なりを知る上でも、また貞心さんがとても素敵な女性であることが偲ばれる本です。本の内容には触れませんが、このような「愛」があれば、超高齢化時代を乗り越えるヒントがあるように思います。現在介護等にたずさわる人にも心の励みになる本ではないかと思います。さて、良寛さんも当店に見えるお客様も共通して苦しんでいる症状に胃下垂があります。夏場の盛りには意外と症状は出ませんが、いったん秋の気配を感じるころになると、夏の暑さからくる疲れとともに、この症状が出てきます。不調を訴える方が日に日に多くなります。体質的には、低体温と内臓全般の働きが落ちているのが胃下垂の人ですから、気温が下降するにしたがって、体質的な症状が出てきます。さらに暑さからくる内臓の疲れもありますので、その不調は秋の方が強くなるようです。この体質の方々は、「食欲の秋」とは反対に胃腸の疲れを早くとるために、温かいものをとること。食事は養生を兼ねて通常の7~8割程度にして、よく噛んでください。水分補給も取り過ぎず、温かいものをとりましょう。ほうじ茶や番茶などがよいでしょう。睡眠時間も秋の夜長といえども、なるべく長くとるのが良いでしょう。体の抵抗力も落ちておりますので、風邪にも注意が必要です。秋の疲れをとることが、冬を無事に乗り越える秘訣だと思います。「君看ずや双眼の色、語らざれば憂いなき似たり」良寛さんも心配しておりますよ。

我以外皆我師③

今年は梅雨明けが遅れているようですね。昨年より相談が多いように思います。体力のある方でも、この時期特有の温度、湿度の変化によって、体力が消耗してくることで不快な症状が現れてきます。いわゆる「熱中症」として理解することで、休息、水分補給、適切な温度管理等で重症化を防ぐことができますが、もし「夏風邪」をひいているという前提で理解すると、すでに消耗期に入っており、ややだるい、軽い頭痛や微熱っぽい、食欲がない等の上にこの時期特有の条件が重なることで実は、「熱中症」として重症化するように思います。体力のある方でも、夏風邪が入ることでこのような症状を起こします。ましてや漢方相談の対象者である、虚弱な方、老人の方、さらには、症状をかかえている方にとっては「熱中症」は死に至らしめる大きな要因になります。見えないものを見るということはなかなか難しいものですが、何度でも申し上げます。夏風邪をひくことで「熱中症」は重症化します。早めの夏風邪対策をとることが健康な方でも重要であり、漢方相談を受けている方にとっては「風邪は万病の元凶」として理解していただきたいものです。「照脚脚下ですね。自分自身を見つめて、健(丈夫な体)と康(穏やかな心)を心がけていただきたいものだと思います。さあ、今月も見えない敵(風邪)とのたたかいに頑張りたいと思います。

我以外皆我師②

今回は、Aクリニックの奥様の友人からの相談がありました。「職場でのストレスで切れてしまい他の方々を不愉快な思いにさせてしまう。」「同じ事を繰り返す自分に情けなく落ち込む毎日です。」という内容です。まさしく照顧脚下です。前回も相談余話で書きましたが、「相互依存」による自分自身の心を見失っている状態です。人を頼って思うようにいかず、ストレスをためるか、頼らずに生きて与えられることに感謝するか、どう考えるかです。頼る体質には甘えと思い上がりがあり、常に不幸と不満が付きまとうようです。難しいことですが、出来る限り、頼る気持ちを抑えて、一人で生きるという基本を身に付けてほしいものです。「人間誰しも頼れるものは自分の二本の足以外にはない。」と覚悟すべきだと思います。これも漢方以前のお話かもしれません。自らも姿勢を正して感謝の心を徹底して培いたいと思っております。

我以外皆我師①

一年に一度ですが、お会いするのを楽しみにしているお客様が今年も無事に見えてくれました。30年ほどのお付き合いになります。多くの不定愁訴(身体的不調感)をかかえ、医療機関等の検査を受けても異常が見つからず、精神的な問題ではないかといわれたそうです。この御婦人は身体的特徴は見るからに痩せ細って、目だけがギョロギョロしておりますが、精神的には誰よりもしっかりしております。まさしく胃下垂タイプです。かなり胃腸機能が低下し、全般には内臓全部が下垂な内臓下垂タイプであると判断し、そのお話をさせていただきました。お話をしているうちにはじめて自分の体質というものを理解されたようです。すべてはこの大地から物事が始まるといいますが、この御婦人も胃腸の改善から内臓全般の機能が良くなり、今に至ります。御年88歳になったと申しておりました。どこに行っても受け止めてももらえないいわゆる半健康体(機能低下)は当店においては一番多く見えている人たちです。良寛さんも晩年は胃腸で苦しんだそうです。「君看ずや双眼の色、語らざれば憂いなき似たり」、病と向き合い、それを乗り越えた人のお顔は、誰よりも笑顔が素敵だそうです。この御婦人も、良寛さんも私の師匠ですね。

感謝の花とは…

今日、朝一番に秩父から見えたAさんは腎不全を患いお医者様からは透析の話もでております。それでも一縷の望みをかけて当店に見えております。悩み苦しみを乗り越えて穏やかな笑顔がとても素敵です。もう心は決まってらっしゃるようです。まさしく内から輝くという事を実践されております。自我を発揮させよという事ではなくて、生かされて生きている事への感謝とそれに対するお返しとしての義務の事のように思います。義務は内に秘めたものです。たった一人の私に与えられた生命には私には私にしか咲かせない感謝の花があるようです。私も笑顔を持って感謝としております。Aさんも笑顔をもって感謝の花を咲かせているようです。そろそろ山吹の花の季節です。気品とは優しさのある人物。その人はこの花の精の様に思われます。

健康で長生きは長息をする

最近相談をしていて気になることがあります。病をかかえて自律神経を安定させることは難しいことですが、相談者の多くの人が「呼吸」が浅いように思います。呼吸数は多いのですが、肺の入り口で循環させて、肺の奥まで酸素がいきわたらないようです。これでは、肉体も精神も安定しません。まずは「意識して吐く」訓練をしてください。医食同源の真弓先生によると、一分当たり18回以下に呼吸をとどめることがよいと述べられています。呼吸数を18回にすると体温は18の2倍の36度、その36度の2倍にした72というのは、脈拍数、さらにその2倍144は、最高血圧の標準値になるそうです。そして最高血圧を144以下に抑えたいなら呼吸数も18回以内に抑えなければならないと述べられております。意識して呼吸数をコントロールすることが、健康しいては長生きの秘訣かもしれませんね。まずは、呼吸法を健康になるための基本にしてはどうでしょうか。大いなる働きの中にこんなにまで小さな私が今も生かされているとしみじみに思うこの頃です。

「より高い出会いを求めて…」漢方は哲学である。

この世に生まれて、人は生きていかなければならないという苦しみを背負っているようです。いわば、人間として生きてきたというだけで一重苦の病める者です。病人はこの一重苦の上に病むという悩みを持っており、まさしく二重苦であり、二重苦の病める者であることを知ったとき、さらに年老いることが三重苦であることを知ったとき、この人たちのために三倍の重みをもったお話ができるのか、今一度自分の「姿勢」「かまえ」「お顔」「話し言葉」を反省し、希望の光を差し上げられるように、漢方という枠を超えてより高い出会いを求めて日々精進してまいります。

何事も「 馬尾蚊足」のように… 」

厳しい寒さの中にも春の兆しを少しずつ感じるようになりました。冬というものを味わい尽くしてこそ、春の良さを一層感じるとは道元さんのお言葉にもあるようですが、そのような気持ちになれてはじめて生きている実感を味わえるのかと思いますが、いかがでしょうか。お香に「馬尾蚊足」という言葉があります。貴重な香木を大切に少しずつ使用するという戒めの言葉だということらしいです。漢方薬も貴重な生薬です。特に動物生薬には限りがあります。貴重な生薬を「馬尾蚊足」の言葉のように大切に使用しなければならないと思います。ちなみに当店では、お香(香木)薬玉(くすだま)は、漢方薬に準じて大切なものとして扱っております。来てよかったという言葉をいただきたく、毎日が精進、精進です。

「 重畳(喜ばしいこと) 」

新年あけましておめでとうございます。関東平野は元旦から穏やかな暖かい日が続いているそうですが、秋田・宮城県境にある秋ノ宮温泉郷では暖冬とはいえ、毎日雪が降り、山に積もる変化にとんだ雪景色を楽しんでおります。静寂の中にも風の音とともに雪が舞い、幾重にも重なりあいこの上もなく心地良い音楽を聴いているようです。重畳(ちょうじょう)の世界いるようです。また、多くの生きるものの(叫び)も同時に聴こえてきます。世界のどこかで、日本のどこかで、そして人間の心の中のSOSを聞き逃さないように漢方相談を通して最善を尽くしてまいります。

「無事というお守り」

多くの相談を受け、今年もあと1ヶ月余りで終わりを告げようとしております。一人一人を思い返し健康に無事に過ごしておられるか思い返す日々であります。退院後、無事に過ごしていらっしゃるだろうか、また、リウマチの方は痛みが出ていないだろうか、てんかんのお嬢ちゃんはどうしているだろうかと心配はつきそうもありません。私も今年一年を無事に過ごせたことに感謝し、当店で相談を受けた方々一人一人に思いをいたし「無事というお守り」を受け取ってくださることを願って、そして来年も無事に、またお会いすることを楽しみに、残り1ヶ月頑張って行きたいと思います。

「南方録より」

利休曰く、「茶道とは湯を沸かし、茶をたて、飲むばかりなり」と南方録に記されておりますが、至極当たり前のことのように思われますが、私にはとても重要なことがかくされているように思います。主人は茶を受ける側の人の個性・性格・趣味・嗜好、その時の状況をかみして最善のお茶を差し上げるべきであるとおっしゃっているように思います。これはまさしく漢方の考えでもあり、個性の尊重ということを忘れてはならないということを噛みしめて、日々精進したいと思います。秋も深まり、朝・晩の気温差が大きくなってきました。体調不良の方も多く見うけられます。風邪もひきやすく、秋風は長引きますので、御注意してください。

「われ未だ木鶏たりえず」

大横綱の双葉山が「われ未だ木鶏たりえず」と言われたことを思い出しました。第一に「競わず」むやみに余計な競争心を起こしてはならない事、第二に「てらわず」自分を自分以上にみせてはならない事、第三に「瞳を動かさず」回りばかりを気にしてキョロキョロ見回さない事、第四に「静かなる事木鶏の如し」木彫りの鶏の様に静かに自己をみつめる事と双葉山の謙虚なお言葉にはこのような深い哲学があるのかといつも考えさせられます。双葉山にももちろん木鶏にもなれそうもありませんが、どうか「心の病」で苦しんでいる40代、50代の方が救われますように願って書きました。

「合わせることが特効薬」

この仕事について、絶対的なものはないように思います。ましてや特効薬という絶対的なものもないように思います。専門家は絶対を目指して研究を重ねています。この絶対に効かせる自信を会得するために、この世にたった一人しかいないあなたという人間の体質に全てを合わせるために全知全能をかけること、これが絶対ということですし、その技こそが専門家であります。あなたに合わせた薬が「よく効き合っているとき」それが特効薬だと思います。さあ、今月もあなたにお会いできることを願って…頑張ります。

「老いても自立こそ人生」

聴いていて気持ちの良い言葉と同様、見ていて良い顔だなという人に出会うことがあります。つい最近2年ぶりにお会いしたKさんは、80歳にして現役の営業マンです。いつもニコニコして、たいへん謙虚な方です。仕事一筋にやってこられ、多くの苦労を乗り越えて来て、何ともいえない良いお顔をされています。おそらく仕事がすべての生きがいにつながり、健康で若々しく、誰もがKさんのようでありたいと願うでしょう。そして大事なことは「人間誰しも頼れるものは、自分の二本の足以外はないものだと教えてくれるKさんです。」

我(われ)以外(いがい)皆(みな)我(わ)が師(し)

うつ傾向の若い男女の方の相談が増えているようです。一人で行う仕事量が多く、休日を返上してまでも頑張っておられる方が多く見られます。企業側の生産性の問題もあるでしょうが、もう少しゆとりがあってもよいのではないでしょうか。また、30代は、全身全霊で社会に立ち向かう時期です。おそらくほめられることはなく、悩みの時代でもあります。悩みの中にいるときには見えませんが、はたから見ていると、立派な人間がつくられる時なのです。どうか学ぶ姿勢を忘れず、「我以外皆我が師(先生)」という思いで、乗り越えてください。立派な人間になるための登竜門のようでもあります。できたらもっとな悩みぬき苦労してくださいと申しておきます。

「人格―言うに言われぬ風格」

いろいろな肩書をお持ちのお客様がご来店してくださいます。会社での役職がある方、医療、福祉についている方、あらゆる分野でのその人を示す肩書をお持ちです。人格という言葉の「人」の部分は、その人本来の人間性を現わしていると思います。では、「格」は世間でいわれている肩書だと思います。人間的にも素晴らしく、それに見合う肩書がおありの方はなかなかいないものですね。そのような方がいらしたとしたら、いわゆるー言うに言われる風格の持ち主ではないでしょうか。

「歩歩(ほほ)是(これ)道場(どうじょう)」

ある20歳になるアトピー性皮膚炎を患っている青年とその家族を想いながら、人間には良い環境が絶対必要であるが、悪い環境も必要であると思いました。悪い環境で悪くなったというのは、その人の性格の問題であり、そのような人は良い環境において、果たして良くなったかと言えば、甚だ疑わしい限りである。良い環境で文句を言う人はいないから、あえて甘えたり、いい気になってはいけないと戒めたい。しかし問題は、悪い環境に置かれた場合に、悪い環境こそが、人間を一つ一つ智慧あるものに育ててくれる一大要素だと思うのです。悪い環境が与えられた時は、まず第一に与えられて然るべき自分だということを反省するとともに、第二に全能の佛からの授かりものだということにすることで、このような青年が成長するいわゆる自立への第一歩となるのではないでしょうか。人生の修業はかくも厳しいものですね。

「親鸞のお言葉―同胞(命あるものすべて同じ)」

その日一日の相談を終えて、夕方のそうじをはじめるころ、店の前を通称バル君が通ります。彼はいつも笑顔で私に手を振りながら、何度もあいさつをしてくれます。土・日以外は作業所で一日働き、夕方の帰り道です。雨の日も風が強い日もいつもきまった時間に店の前を通りあいさつをしてくれます。私が見当たらない時は、店の前で立ち止まり、私のあいさつを待っていてくれます。いつも心の中で「無事」家路に着くことを祈りながら、挨拶を返しております。彼はダウン症をもち、自立への道を歩んでいるのです。がんばれ、がんばれです。私のお客様にも自らが病に苦しんでいながら、同病に苦しむ人のために、千羽鶴を折る決心をして、その数三十羽にして世を去った人がいます。千羽折る事と三十羽しか折れなかった事とまったく違いはありません。それどころか病める人が病める人に鶴を折るとは、何と尊い事であり、ただただ頭が下がるばかりです。生かされていることの過酷さ、そして生きることの美しさというものをあじわっている毎日です。バル君いつもありがとう。

「耳根清浄(じこんせいじょう)にして苦患(くかん)なし」①

身体が訴えているのに頭の方がわかろうとしない方
一代で鉄工所を築き上げたSさんは、やせた方でどちらかというと虚証タイプの方です。若くして独立し、奥様と二人で頑張って来られ、現在は150名の社員をかかえる中堅の鉄工所の会長をしております。現場は二人の息子さんにまかせておりますが、何ぶんにも一代で築いた人の特徴なのでしょう。何かと現場に行っては社員を励まし、アドバイスをしております。誰よりも早く出社し、全社員が帰るのを確認してからご本人も帰るそうです。奥様と二人で毎回会話を楽しみながら、相談に見えてくださいます。奥様は御主人の身体をいつも心配され、現場には行かないように言っているそうですが、聞き入れてくれないそうです。私も現在の年齢、体質的特徴をお話して、健康に注意するようにお話ししておりますが、なかなか理解してもらえません。確実に万病の元であるが、誰も知らない風邪に注意が必要です。 
① 老人、虚弱児の様な抵抗力のない方は、風邪の症状は出さないで肺炎になります。 
② 病人の持病は、ちょっとした風邪で悪化し命取りになります。 
③ それぞれの体質によって風邪が原因とは思えない不快で苦痛な症状が無数訴えられます。 
④ 入浴はやめて、風邪に対する養生をしてください。
何度も申し上げます。お体の弱っておいでの方は、熱のない肺炎(だるい、息苦しい)直接つながります。
二人の息子さんにまかせて、ご夫婦2人でゆっくり温泉旅行でもしてもらいたいものです。