薬やまと堂

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うめ爺とうめ子の楽しく優しい日々

相談余話

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相談余話

いつも良寛さん

ゴールデンウィークを前にして今年は寒暖差の激しい春を迎えております。
相談に見えるお客様や相談電話もこの時期にしては多いようです。
いつも申しておりますが、身体の弱い方、ご高齢の方にとっては「弱い」「高齢」というだけで、何らかの不調という病を抱えております。そこに気候変動の激しさが追い打ちをかけるようです。ストレスや寝不足により慢性的な疾患を抱えているお客様にとってはたいへんつらい時期のようです。「弱い」「高齢」という不調を病とするならば気候変動の寒暖差もいろいろな形で不調をもたらす病です。二重の病に苦しんでいるのが、「身体の弱い人」「ご高齢の方」ではないでしょうか。
「君看ずや双眼の色 語らざれば憂いなき似たり」
何も言わなくていいですよ。多くの苦労を素直に受け止め乗り越えてこられたお顔です。お顔を拝見するだけで十分です。ありがとうございました。

店主

専門家はすべてをあわせる

3月もお彼岸を過ぎると暖かさとともに春を感じる季節を迎えます。桜も今年は早いようです。待ち遠しいですね。当店では16年前に購入した車の買い換えをするときがきたようです。15万キロ以上乗り愛着のある車でしたが高齢者のお客様が多くなり、山間部の配達も増えていることもあり買い換えを決断しました。どのメーカーを選んでもある程度のオプションの装備により車とはなんと高額かとびっくりするばかりです。そんなときあるメーカーのHさんがお店に見えパンフレットを届けてくださいました。いつもはこちらからの車選びによる見積もりでしたが、Hさんからのおすすめの車のようです。「山間部によく行く」「高齢者を乗せる」「運転者の年齢」等「経済性」「セーフティ装備の充実」をおっしゃっていただき、「この車が一番社長の望んでいる車のように思います。」と言われました。まさに私がお店で漢方薬を選定することと同じように私の性格、趣味、嗜好など全てを含めて選んでくださいました。どの世界にも「あなたに合った薬を車」を提示できる専門家がいるようです。何も言わずそれでお願いしますと申しました。Hさんも自信に満ちた顔でうなずいていました。薬でいえばあなたに合わせた薬がよく効くことで特効薬になります。おすすめの車はこれから私にとって一番の愛車になることでしょう。Hさんに出会えたことそして私に一番よい車を選んでいただいたことに感謝するばかりです。ありがとうございました。

店主

正師を得らざれば学ばざるにしかず

立春が過ぎても厳しい寒さが続いております。春の気配を感じることはできませんが、北鎌倉の松岡山東慶寺へ行ってきます。師の眠る墓苑に手を合わせ、1年を祈願します。そこには多くを学んだ先生方も眠っております。なんとも幸せな時を過ごすことのできる場所です。花の寺でもあり、福寿草、それに行く頃には紅梅、白梅も見頃になるでしょう。いつ行っても季節の花で彩られています。禅「ZEN」として世界に広めた鈴木大拙も眠っております。それぞれのお墓の前で禅問答ではないですが、「今、ここを読んでおりますが、本当の意味は何ですか?」と話しかけております。「ああ、そこには深い意味は無いが先に進みなさい。」または「そこはもう少し考えてください。」と言われているようです。本当にありがたいことです。1日が墓苑巡りで終わってしまいます。墓苑を出る頃には体が冷え切っておりますので、よく先生と立ち寄った鉢の木で「精進料理」をいただくのも楽しみの一つです。ここの梅も素敵です。1年で最も充実した日になります。先生と語り合った日々それに多くを学んだ先生方にまた教えを乞うのはなんとも幸せです。姿形はなけれども私の心の中ではみなさんはお元気なようです。どうぞ、また墓苑でお会いできることを楽しみにしております。まだまだ学ぶことはたくさんありますので、よろしくお願いいたします。恋人に会いに行くような気持ちで楽しみにしております。早くお会いしたいものです。 二月吉日

店主

本質を見極める

1月下旬雪の残る厳しい寒さの中、Kさんは元気に来店してくださいました。すでに70歳は超えておりますが、今ではとても若々しく、健康そのものです。以前相談を受けたご質問は、「いろいろお化粧を買い求め、試してみたが最近は本来の肌色との違いが目立ち老けて見えるようになり、どこか体の中に問題があるのかもしれない。」ということでした。60歳を超える頃から体内の老化が顔に表れるようになります。まさしく顔は内臓の働きを表す「鏡」です。体内環境をよくする漢方療法と「和顔愛語」それに「「化粧断食」をお願いしました。気・血・水の巡りもよくなり、顔の皮膚も健康を取り戻し、いつも笑顔に美しい言葉を続けていくことで、今ではとても健康的な肌色で誰よりも健康美人です。ほぼ10年を過ぎますが、今も家では「化粧断食」をしているそうです。外出の時だけ「少しの口紅」と「和顔愛語」で十分だそうです。年齢を感じさせないKさんは病気をよせつけない生き方を見つけたようです。こちらが感謝・感謝です。それでは今晩は、NHK-Eテレ放送のやまと尼寺の3人を楽しく見たいものです。

店主

大身は大身に非ず

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年も元旦は東北の秘湯で迎えました。乳頭温泉郷の奥にある蟹場温泉です。吹雪舞う雪の回廊を登り、バスの終点にその宿はありました。湯治宿の面影を今に残し、雪に埋もれながらひっそりと息づいているようです。一年間を振り返り、自分と向き合う場所としては、申し分のない場所のようです。大雪でも露天風呂への道は確保されており、早速長靴をお借りして、出かけてみました。雪に埋もれたブナやタケカンバの森の中に湯けむりをあげている露天風呂唐子の湯がありました。雪がふぶき湯けむりを巻き込んで、竜が天に昇るようです。自然が出迎えてくれたようです。極楽、極楽です。ただ、湯につかり、眠り、そして深山の山懐に抱かれて、しんしんと降る雪景色に一冊の本でもあれば十分ですね。「心に能所の限量無き、是を大身と名づく」という言葉が思い浮かばれました。仕事がら救っていく自分と救われる相手という立場があるように、漢方相談という壁を作ってしまう。一人の人間として融通無碍に交わることができれば、どんな関わりにもそこに壁を作るのは自分であり、その壁を作らず受け入れることができればもっと多くの人が救われるように思います。漢方相談の壁を無くし、人間としての交わりができるようにしていくことでさらに多くの方を救えるのではないでしょうか。「大身は大身に非ず、是を大身と名づく」これを今年のテーマとしたいと思います。大自然の雄大さに触れて感謝、感謝です。さあ今年も始まります。やはり唐子の湯は最高ですね。

店主

無事

寒い冬を迎え、今年も終わりが近づく中、忘れることのできない本があります。髙田郁著「出世花」と「蓮華の契り」です。どのような境遇でも自分の一生をかけられる仕事に誇りを持ってやり遂げていく。そこに人間としての素晴らしさがあるようです。「出世花」の「正縁さんと正念さん」や「蓮の愛」に見られる「貞心尼さんと良寛さん」のように師と弟子としてともに温かく見守る情愛がなんともいえません。そういう環境があれば、人間は必ず独り立ちしていくのではないでしょうか。一人の立派な人間が作られると思います。病を抱えている方にどれほど寄り添え、手を差し伸べられたか反省するばかりですが、今年の締め括りとして、「無事」という言葉を皆様に受け取ってもらえれば何よりです。「無事」新年を迎えることをお祈りしております。一年間ありがとうございました。

店主

今日も修行です。
秋の深まりとともに、教えを受けた先生が偲ばれます。「自分を知るとは、生かされているばかりの自分を知れということで、誰がどれだけ自分を生かしてくれる力を与えてくださっているかを知ることだそうです。」そしてその量が多ければ多いほど、自分が深まっていること、つまりどれだけ進歩したかの目安になるとおっしゃっていました。それがまた、終生の修行とも言っております。『健』は丈夫な身体のために、『康』は穏やかな心を保つために、どれだけそれらに心砕いて努めたかによって、人間として成長するのではないでしょうか。それは「何もできない自分を生かすために、全ての働きが自分を支えてくださる。」と言うことでもあります。修行に終わりはないと思います。今年も残り少なくなってきましたが、多くの方に支えられながら、今日も修行に励みたいと思います。
希望と安心
お彼岸も過ぎる頃になると、夏の残暑からも解放され、過ごしやすくなってきました。昨日実家からの帰り道でしょうか、Cさんが店前を自転車で元気に会釈をしながら通り過ぎていきました。うれしそうなお顔に安心しました。もう20年のおつきあいになるでしょうか。そのCさんは甲状腺機能に異常があって、若いときからお薬を服用しております。お薬の服用で一応、検査結果は安定しており、経過観察になっていたようです。当店に見えたときの訴えは、「汗や動悸が気になる」「疲れやすい」などでした。甲状腺の機能状態は問題がなくても不快な症状は続いていたのです。生活の質(QOL)を少しでもあげて、快適な生活を求めて来店されました。甲状腺ホルモンが多い場合もあれば、少ない場合も不快な症状として「寒がり」「無気力」「むくみ」など自覚症状として表れます。Cさんは、漢方薬と免疫機能調整作用のある物質も一緒に服用しているため、自覚症状もなくたいへん元気なようです。自己抗体を抑制することは、抗リン脂質抗体症候群(不育症の原因の一つ)にもたいへん喜ばれております。昨日より今日、そして明日へと「希望のある」「安心できる」日が来ることを目標に精進、精進です。
規則を超えたところにある本当の規則
8月15日から4日間夏休みをいただき、米沢八湯の一つである大平温泉・滝見屋さんへ行ってきました。吾妻山嶺の市道の山林を車で登りきり、頂上に車を止め、そこから最上川源流に向かってトレッキングです。このような場所に宿があるのか心配でしたが、ひっそりと山陰に秘境の一軒宿がありました。何よりも宿の方の笑顔に救われました。今まで訪れた宿の中では、やはり秘湯中の秘湯ではないでしょうか。何もない中にあるのは、自然の美しい変化と、豊富な温泉です。地獄にも仏とはこのような場所に来て体験できるのですね。二日間の滞在が夢のようでした。そしてこのような秘湯の宿を守っている女将さんをはじめ、スタッフの方々には感謝、感謝しかないようです。秘湯の宿めぐりで、はじめて秘湯とは何かをつかめたようです。名勝、火焔の滝は望めませんでしたが、おそらく忘れることのできない貴重な体験になったことは間違いないと思います。そして何かとは、「規則を超えたところに本当の規則がある」ということではないでしょうか。ありがとうございました。
沈黙こそ真実の言葉
病と向き合うお客様に季節は関係ないようです。この暑さの中に多くの方が当店に見えてご相談されます。この季節は、電話で今日の状態をお聞きして、「いつもと違う」という方には2、3日様子を見てからご来店してもらうようにしております。くれぐれも無理をせず熱中症には気をつけていただきたいものです。相談に見えて理路整然とお話をされる方もいれば、とつとつと一言一言を選んでお話しされる方、表現の仕方はそれぞれに違います。どの方にも共通する大事なことは、お話を終えた後の沈黙です。言葉にならない「余白」にこそ、その人の真実があるように思います。悩みの深さ、病の深さを感じることができます。相談に見えて言葉は少なくとも十分に伝わるものがあります。心を込めて話した短い言葉にも、相手の心にしっかり届いておりますので安心してください。どうぞ、沈黙もよいものですよ。