昨年も多くの方のご相談を賜り最善を尽くしてまいりました。新年も新たに頑張っていきますのでよろしくお願い致します。毎年恒例になりましたが、雪を求め東北の宮沢賢治の古里でもある岩手花巻の大沢温泉で新年を迎えました。とても暖かい朝ですが、雪が舞い、茅葺の菊水舘の温度計は-5度です。今でも多くの方が自炊しながら温泉を楽しんでおります。部屋の壁はあってもないように隣の声が当たり前のように聞こえてきます。一年間の農作業を終えて一家総出で家財布団を持ち込み、湯治に来たようです。何とも言えない家族のだんらんがあるようです。私の部屋の窓から聞こえる微かな風の音、雪が楽しそうに舞っています。古き良き時代の情緒があります。与えられて当たり前の生活から、ここでは温泉以外全て自分で行わないと成立しません。コイン式のガス代一つ使えません。ここには何一つ温泉以外はないのです。茅葺の菊水舘は古くから何も変わってないのです。部屋にも風が入り、ストーブの火が揺らいでいます。温泉に入らないと耐えられない寒さです。しかし、ここには静寂があります。ガラス越しに見える大沢の湯はまるで極楽のようです。風が吹き荒れ、雪が舞い、ガラスが震えていますが、全てのものが自分に何を教えようとしているのか、もう一度耳をすまして聞き届けたいと思います。都会では聞こえない声が、ここでは聞こえています。そしてまた今年も自然から学んだことを相談に活かしていきたいと思います。ここ南部藩茅葺の舘から皆様の健康を心より願っております。
読書の秋には少し早いかもしれませんが、一冊の本を紹介したいと思います。「蓮の愛」良寛と貞心尼―著者は市川信夫さんです。良寛さんの人なりを知る上でも、また貞心さんがとても素敵な女性であることが偲ばれる本です。本の内容には触れませんが、このような「愛」があれば、超高齢化時代を乗り越えるヒントがあるように思います。現在介護等にたずさわる人にも心の励みになる本ではないかと思います。さて、良寛さんも当店に見えるお客様も共通して苦しんでいる症状に胃下垂があります。夏場の盛りには意外と症状は出ませんが、いったん秋の気配を感じるころになると、夏の暑さからくる疲れとともに、この症状が出てきます。不調を訴える方が日に日に多くなります。体質的には、低体温と内臓全般の働きが落ちているのが胃下垂の人ですから、気温が下降するにしたがって、体質的な症状が出てきます。さらに暑さからくる内臓の疲れもありますので、その不調は秋の方が強くなるようです。この体質の方々は、「食欲の秋」とは反対に胃腸の疲れを早くとるために、温かいものをとること。食事は養生を兼ねて通常の7~8割程度にして、よく噛んでください。水分補給も取り過ぎず、温かいものをとりましょう。ほうじ茶や番茶などがよいでしょう。睡眠時間も秋の夜長といえども、なるべく長くとるのが良いでしょう。体の抵抗力も落ちておりますので、風邪にも注意が必要です。秋の疲れをとることが、冬を無事に乗り越える秘訣だと思います。「君看ずや双眼の色、語らざれば憂いなき似たり」良寛さんも心配しておりますよ。
最近相談をしていて気になることがあります。病をかかえて自律神経を安定させることは難しいことですが、相談者の多くの人が「呼吸」が浅いように思います。呼吸数は多いのですが、肺の入り口で循環させて、肺の奥まで酸素がいきわたらないようです。これでは、肉体も精神も安定しません。まずは「意識して吐く」訓練をしてください。医食同源の真弓先生によると、一分当たり18回以下に呼吸をとどめることがよいと述べられています。呼吸数を18回にすると体温は18の2倍の36度、その36度の2倍にした72というのは、脈拍数、さらにその2倍144は、最高血圧の標準値になるそうです。そして最高血圧を144以下に抑えたいなら呼吸数も18回以内に抑えなければならないと述べられております。意識して呼吸数をコントロールすることが、健康しいては長生きの秘訣かもしれませんね。まずは、呼吸法を健康になるための基本にしてはどうでしょうか。大いなる働きの中にこんなにまで小さな私が今も生かされているとしみじみに思うこの頃です。