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第33話 うめ爺、うめ子岩手花巻へ行く… 続編2

うめ爺、かやぶきの旅館は、今では少なくなったそうですよ。もうここ以外乳頭温泉郷の黒湯ぐらいしかないそうですよ。古いかやぶきの旅館はそうかもしれませんね。おぼこのあきちゃんが、梅吉さんと社長の部屋に入っていきましたが、どうかしたんですかね。社長、おしかばあさんはいったい何者なんですか?私の化粧品全てを豊沢川にかかる橋から投げ捨てたんです。もうお客様の前には出られないと思って、部屋を飛び出し上流に向かって歩いていたら、藤山旅館の前にいたんです。そしたらとても優しそうなにこにこしたおじいさんの番頭さんが話しかけてくれたんです。さきほど「おしかばあさん」から連絡があって、一番よい部屋にお客様として一晩泊めてやってくれと言われましてな、当旅館の最高のおもてなしをさせてもらいます。さあ、私について来てください。当旅館は、以前は湯治のお客様がほとんどで、なにもかもいまのようではありませんでした。時代の波に乗れず、お客様は減る一方でございました。いよいよ宿を閉めなければならない日が近づいて来たとき、あのおしかばあさんがいつものかっこで来て、藤山旅館のすべてのトイレ掃除を始めたんです。なんと宿を閉める前日まで三日三晩寝ないで掃除をしたんです。そして旅館の主人、おかみさん、番頭の私と従業員全員が自然に部屋の掃除、床磨き、ありとあらゆるところを磨いていたのです。それも三日三晩寝ないでしたんです。そして旅館を閉める日がやってきたんです。ああ、これで終わりかと思ったんですが、あの「おしかばあさん」が閉館を知らせる紙をはがして、破り捨て、にやっと笑って、今日から藤山旅館は生き返った、今日は開館の日にすると言うとにこにこして懐から札束をいくつも出してお祝い金だからここに置いていくよと言い、いつものいでたちに下駄を履いて、大きなあくびをしながら豊沢川を下っていったのです。全員もう何も言えないで、そこに土下座をし涙をこらえるのが精一杯でした。本当に神様のようでした。そして、おぼこのあきちゃん、この藤山旅館は今もあるのです。「おしかばあさん」の教えを守って今はたいへん繁盛しております。そういうわけで今日はお客様として藤山旅館最高の接待をさせていただきます。はい、わかりました。 つづく

2019/06/04