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第49話 おぼこのあきちゃん 春休みの初日(つづき)

あ~、あ~、なつかしいですね。

温泉旅館として立派になりましたが、湯治部や茅葺の菊水館や川に面する露天風呂は昔と変わりませんね。

やはり、私は、茅葺の菊水館に泊まりたいです。

素朴な部屋に、質素な食事がいいですね。

でも、ここから混浴の露天風呂が見えるとのことでこの部屋は一番人気なんですって、お笑いです。

でもいい眺めですね。豊沢川にかかる橋が素敵です。

橋を渡ってくるのは、おしか婆さんですかね。ここまで来るのは、大変ですから行ってみますか。

おぼこ様、手を出してはいけませんよ。

はい、はい、わかりました。

この橋の上からあんたのお化粧道具一式を投げ入れたわね。
あれはね、もう世間に合わせた生き方を捨てるためにしたんだよ。

おしかばあさん、そのおかげで私は、私の生き方が見つかりました。
本当にありがとうございました。

そんなこと言うのは、おぼこ様だけだよ。
本当に立派になったもんだよ。

さあ、お風呂に入ってゆっくりしてくださいよ、おぼこ様。

この菊水館は、昔のしきたりでね。部屋は質素だし、食事も一汁一菜みたいなものだよ。
仲居さんなどいないが、今日は、おぼこ様専属の仲居でございます。何でも言いつけてくださいよ。

おしかばあさん、それではお願いします。横になってください。

はい、はい、わかりました。

あれですよ。足もみをします。

昔と体重が違うけど、やさしくしておくれや、おぼこ様。

当時は、半分寝ながらやっていましたよ。

そうかい、そうかい、涙が出てくるね。これじゃ仲居としては、失格かね。

いえいえ、合格です。あいかわらず、三畳のふとん部屋にいるそうですね。

あそこが私の会長室だよ。いつも初心を忘れないようにね。最後は心が決めることだよ。おぼこのあきちゃんも同じだよ。技術は、終わりがあるけど、心は、無限に続くよ。心を大事に前に進むんだよ。

はい、最後までありがとうございます。
おしかばあさん、私も色々強くなりましたよ。今晩は、二人でお酒でも飲みますか。朝までやりますよ。いいですか。

やはり、私の一番弟子だね。

男でも露天に入っていたら、二人で押しかけますかね。

いいね、みんなびっくりだよ。  おわり

ご来店、お買い上げのお客様でご希望の方に「おぼこのあきちゃんセット」をプレゼントさせていただきます。
​かごの中にも色々は入っていますので、お好きなものをお選びください。

2024/08/01