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第29話 おぼこのあきちゃん 福島のとらさん。

おぼこのあきちゃん、元気で頑張っているようだね。
うちで修業した子は、みなさんお役に立っているのが私はうれしいよ。

だって、おしかばあさん、あれだけしごかれれば、どこでも頑張ってやれますよ。

おまえもずいぶん成長したようだね。
社長が私に手を合わせていたよ。

最近よく正座して手を合わせているんです。おしかばあさんに感謝しているんです。

それにしても、あのカッパ、頭には、キューリでも食べさせておけばいいよ。

はい、よくうりもみにして、忙しいときはそうしております。

おまえも将来のおしか婆さんだね。

ここの幸子なんか、うちに来たときは、うなずくだけで言葉が出てこないんだよ。
それが今じゃ、お客にまで指図して、食事を運ばせているんだよ。びっくりだね。

その方は、幸子さんが学生の頃から来ていて、幸子さんのご両親のお葬式にも結婚式にもそっと来ているんです。
そして、毎年忙しい時に来て、そっと手伝って、ひまになると、いつの間にか封筒に宿泊代以上のお金を置いていなくなるそうです。

もう、それが30年以上続いているんです。

そして、あるとき幸子さんが、その方に聞いたそうです。

「幸ちゃんのさちは、しあわせっていうでしょう。その幸せが長く続きますように。」と言って、笑って「また忙しいときに来るよ。」と言ってただ笑うだけなんですって。

そして、また風のようにいなくなるそうです。

そして、封筒には、元気な幸っちゃんへと書いて、宿泊代とお金が入っているそうです。

おしか婆さん、どういうことですかね。

おぼこのあきちゃん、もうとらさんはいないけど、幸子にはだいじなとらさんがいるんだよ。

おとらばあさん、また勉強になりました。そういうことですね。

二階堂さんの帰り、福島市民家園に立ち寄りました。
江戸時代から明治時代の民家が移築復元されています。
昔の人の暮らしぶりに感動します。こんな台所いいですね、はい、パチリ。


 

2022/09/18